Kodakグラフィックユーザー会主催 Success Showcase Seminar
1年以上前の記事です。内容が古い可能性があります。
Kodakグラフィックユーザー会主催のSuccess Showcase Seminarに行ってきました。
ちなみにグラフィックユーザー会(Graphic Users Association)を略して「GUA」というそうです。
今回のコンセプトは「Web to Print」
実際導入されているオーストラリアの事例を、実際の印刷会社及びクライアントの担当者を招いて説明していただきます。
お話していただくのはもちろんオーストラリアの方。したがって今回初めて同時通訳によるセミナーを体験することになりました。
通訳による日本語は無線機につないだイヤフォンで聞くかたちです。(写真)
まずは、Kodakグラフィックユーザー会日本支部会長で株式会社創基の代表取締役でもある権田了悟氏、及びコダックジャパンマネージングダイレクター松浦則之氏による挨拶。
drupa(ドルッパ)開催とコダック御茶ノ水ショールームをリニューアルしたこと、GCG?の柱になるワークフローがなんちゃら等、話されていました。
1. これからの印刷ワークフロー
いよいよ本題です。
第一部は「ワークフローの進化と将来ビジョン」と題したコダックグラフィックコミュニケーションズグループリージョナルビジネスダイレクターのLuis Lebegue(ロイス・レベーク)氏による講演です。
顧客の分散化や小ロット・短納期への対応などと変化する市場環境に対して、これから印刷会社に必要となることは作業の効率化や他社との差別化を図ることで顧客満足を獲得することだそうです。
そのためには
□技術のオープン化
□統一規格(PDF、JDF、JMF)
□インターネットの有効利用(Web to Print)
が重要になってきます。
といったところで「コダックの製品にはその全てがそろっています」と落とします。
技術のオープン化や統一規格などは当社で導入しているハイデルベルグ社の遅れている部分ではないでしょうか?
セミナー内で最も興味深かったのがデジタル印刷の成長予測による今後伸びていくだろうもの
□ダイレクトメール
□プリントオンデマンド
□トランスプロモ
の3つ。
トランスプロモとは請求書明細等にプロモーション広告を入れるマーケティング手法。
コダックにはそういった個別印刷に対応した印刷機もあるようです。
支給された資料によるとダイレクトメールとほぼ同程度の曲線を描いている媒体がもうひとつ。
「マニュアル」です。講演ではこのことに触れてはいませんでしたが、このあたりもチェックしておくといいかもしれません。
そしてもうひとつ「デジタルはオフセットを喰わない」。
これは実際アンケートをとった結果わかったことで、現段階ではデジタル印刷の導入はオフセット印刷から需要を奪い取ったりはせずに相乗効果でオフセットの受注も増えているということです。
drupa(ドルッパ)で公開されたコダックさんの目玉商品でもあるStreamインクジェットプリンティングテクノロジーを使ったインクジェット印刷機(品質でオフセットと並んだオンデマンド印刷機)も2015年までに現行のオフセット市場の1%にしかならないだろうと予想しています。
ただし、あくまでも現在の他業種に比べた印刷業の歩みの遅さを考慮してのことかもしれません。
(印刷業は他業種に比べて技術革新が遅れているそうです)
したがって、ひょっとすると一気に広まって、印刷革命を起こしてくれるかもしれません。
日本は世界2位の印刷市場だということなのでそのことを踏まえてしっかりやっていけば決して悪いようにはならないと思うのですが。。
会場となった大手町サンケイプラザ
2. Web to Printの実例
続いて第二部です。第二部は実際にWeb to Printを導入されている印刷会社及びクライアントの事例紹介です。
まずは、Web to Printのシステム保有者である印刷会社側から。
「StoreFront OPM(オンライン・プリント・マネジメント)―オンライン市場で注目すべき方法」と題した、Whirlwind Print社のマーケティング&プロモーションマネージャーJessica Cleeve(ジェエシカ・クリーヴェ)氏による講演です。
前半で印象に残っているのは
「リスクをとっても新しいシステムを導入したほうがよい」といったところです。
Whirlwind Print社もクライアントであるBoost Juice Bars社もベンチャーです。
家族でやっていたデザイン事務所が社員160人もの印刷会社になり、
お母さんの作っていたジュースが世界に220店舗を有するフランチャイズになりました。
現状を捨てるリスクをとりながら新しいシステムを導入したことで大きくなったのです。
Whirlwind Print社がリスクをとりながらも導入した新しいシステムとは
□顧客に対し単なるプリンターではなくパートナーとなる
□簡素化=自動化
の2点をポイントにした結果、オンラインWeb to PrintシステムのStorefrontになりました。
なお、Storefrontについては
□InDesignとの親和性が高い。
□テンプレートを容易に作れる。(通常のソフトでは8時間のところが半分の4時間)
□顧客ごとのトップページが作れる。
などの特徴を挙げていました。
どういったフローで印刷につなげるのかはBoost Juice Bars社の実例で説明します。
■Welcome to EFI – Essential to print.(EFI Digital StoreFront��錙�
■Whirlwind Print -full colour print & design service, Melbourne, Sydney, Brisbane
プロジェクターって無線なんですね。
セキュリティで保護されていないようですが大丈夫なのでしょうか?
つぎにWeb to Printのシステム使用者であるクライアント側。
「Boost Juice Bars-OPM(オンライン・プリント・マネジメント)を活用した印刷メディアへの新たなアプローチ」と題した、Boost Juice Bars社のマーケティング&プロモーションマネージャーJessica Cleeve(ジェシカ・クリーヴェ)氏による講演です。
Boost Juice Barsとは、生ジュースやスムージーを販売する小売店で、全世界でフランチャイズ展開している会社です。
小売店という性質上地域に密着したマーケティングが必要で、そういった意味ではプリントメディアは非常に重要とのこと。
たとえば駅近くの店舗であれば1$クーポンのついたチラシ。
子どもの多い郊外の店舗であれば「塗り絵」等を利用して子どもを取り込む工夫としたりといった具合です。
当初、本部のデザイナーの用意したプリントテンプレートを各店舗ごとのデザイナーが修正し制作していました。
ところがこれだと、
□テンプレートベースの一部訂正の仕事のためデザイナーが退屈
□校正等のやり取り上でめんどうくさくなりクライアントが離れる
等の問題があったためWeb to Printを導入することになったそうです。
以下、Web tp Printの作業フローです。
①トップページ
トップページでアカウント及びパスワードを入力してアクセスします。
②テンプレート選択
テンプレートの数は約200種類。ただし、よく使われるものは10~20種類に限られるそうです。
なお、Whirlwind Print社のビジネスモデルとしては30種までの上限をもうけたりもしているようです。
③テンプレートを元に出力用データ作成
必要事項をフォーム入力するだけでその店舗用のチラシやリーフレットをオンラインで作れるシステムです。
つまり、ここがWeb to Printの核になります。もちろん元テンプレートは保護されています。
④枚数等を入力し発注
あとは、枚数等を入力して発注するだけです。ダイレクトにWhirlwind Print社に発注されます。
といったように、簡単すぎるほど簡単です。
ポイントはテンプレートをどれだけ用意できるかといったところと、
クオリティにうるさい日本でこのシステムがどこまで受け入れられるかといったところ。
もちろんテンプレートでは対応できない従来どおりの仕事もあるのですが、
Boost Juice Bars社では30%くらいが上記システムで作られているそうです。
トータル(印刷会社側)ではそれよりもうちょっと低い数字かなって感じでしょうか?
もちろん、テンプレート自体を作るのは今までの流れで作ります。
ただし、本部のデザイナーに一任できるという点でやりやすそうです。
料金に関してはデザイナーに頼むとデザイン料金及び制作料金として商品代の15%から20%が上乗せになるところ、
Web to Printにするとシステム使用料として3%をWhirlwind Print社に払うだけですむということです。
オーストラリアではマージンでデザイン料、制作料金を計算するんですね。
比較しやすいからたまたまそういった表現を使ったのかもしれません。
考えてみると、これは地方の印刷会社にとっては脅威のシステムですよね。
フランチャイズ加盟店からダイレクトに仕事をもらっているところなんかでは、本部がこのシステムを持っている大手印刷会社と提携したら一巻の終わりです。
なお、印刷会社とのやり取りが減る分、関係が悪くならないか?と思いがちですが、
無駄な打ち合わせがなくなり、よりマーケティング戦略に力を入れた打ち合わせができるということで、かえって関係は良くなっているそうです。
一番の足かせとなっている細かい作業や仕事の分散化によるブラック化が起こらなくなるので印刷会社側の社内環境も向上するんじゃないでしょうか?
近くには有名な心霊スポット平将門の首塚があります。
実は、ここでお昼ご飯食べました。だって、他に食べられるところないんですもの。。
最後にコダックグラフィックコミュニケーション株式会社
製品統括本部事業統括部長 井ノ迫伸啓氏による総括です。
これからの印刷物は小ロット、高品質、短納期。
Web to Printもでき、トランスプロモにも対応。
オフセットもデジタルもやっているコダックだからできる。
「コダックをよろしくお願いします」と綺麗にまとめて終了です。
■Prinergy – Kodak’s Graphic Communications Group
(Prinergy EvoからPrinergy 4へバージョンアップしてWeb to Printに対応させることも可能だということを強調されていました)
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